眼の進化と生物多様性を研究しています。
The eye is one of the most elaborate organs in animals and the study of its evolution is of particular interest. It has been difficult to understand how this complex organ arose. Molluscs provide a good example of the application of evolutionary genomics, as all eye types have evolved in one lineage.
Tag: #Evolution #Eye #Molluscs #Research #Bioinfo #Papers #Photo #Movie #Link

 

Masa-aki Yoshida (吉田真明)

最初に

現生の生物は共通の祖先を持っており、種分化を繰り返して進化してきました。そのため、遺伝子配列情報などを用いて系統樹を描くことで、過去に起きた系統進化を(ある程度)再現することができます。これは発生に関わるような遺伝子についても言えるようで、最近の研究では眼、心臓、脳、および付属趾などの器官形成に関わる遺伝子(および遺伝子ネットワーク)は、動物の間で保存され共通のものが用いられていることが示されています。私は動物の形態進化と、その原因である遺伝メカニズムに興味を持っています。

研究内容

現在私は頭足類を中心に研究を行っています。頭足類とはいわゆるタコ・イカの仲間です。彼らは軟体動物(貝の仲間)と同じグループに属していながら、海の霊長類と呼ばれるほど高度な知性を獲得しています。また、高い血圧を維持する閉鎖血管系や高い解像度をもつカメラ眼を備えています。閉鎖血管やカメラ眼は脊椎動物にも見られますが、頭足類と脊椎動物には直接の系統関係はなく、独自に獲得されたものです。このように系統進化において、共通の特徴が独立に見られることを収斂進化と呼びます。閉鎖血管やカメラ眼は機能面で似通っているため、似た形になったと推測されます。なぜその形態が獲得されたのかを、進化の究極要因と呼びます。生物の進化は数億年に渡る現象のため、究極要因は生態や機能などの客観的証拠から推測することしかできません。これに対して、どのようにその形態が作られているかを至近要因と言います。この場合、血管や眼を作るプロセスやそれに関わる遺伝子群が進化の至近要因と言えます。最近動物の全ゲノム配列決定が一般的になり、発生に関わる遺伝子を網羅して、システム的に比較することが可能になってきました。脊椎動物と頭足類はどのようなメカニズムで、眼や血管を発達させたのか。それぞれの形成に関係する遺伝子を調べて比較することで、形態進化を起こした要因を明らかにできるのではないかと考え、研究を行っています。

実験動物

私は、現在ヒメイカというイカを用いて実験を行っています。ヒメイカは体長3cm程度で成熟する小型のイカで、実験室で飼育して産卵させることができます。卵は1.5~2mm程度で、20日かけて孵化します。ヒメイカの胚は、眼の形成段階で発現している遺伝子を調べるのに最適です。生きて泳ぐヒメイカに時には手こずり、時には癒されながら日々研究を行っています。